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ドクターコラム「甲状腺とは ~その2(甲状腺の主な病気)~」を更新しました

甲状腺の病気は、比較的よく見られる内分泌疾患です。内分泌(ホルモン)の病気の中では、糖尿病に次いで多く診断治療されています。実際500~700万人の患者さんがおられるのではいわれています。主な病気には、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、甲状腺結節、甲状腺がんなどがあります。

1 甲状腺機能低下症(橋本病)
甲状腺機能低下症は甲状腺が十分なホルモンを生産しないことで引き起こされる病気です。その中の主な病名である橋本病は自分の免疫が誤って甲状腺を攻撃することで起きてしまします。多くの場合長い時間をかけ甲状腺の機能が低下します。特に中年の女性に多く見られています。

主な症状として
1 疲労感:常に疲れを感じ、休んでも回復しないことが多いです。
2 体重増加:食事量が変わらなくても体重が増えることがあります。
3 寒がり:寒さに敏感になり、冷え性が悪化します。
4 便秘:消化器の動きが遅くなり、便秘がちになります。
5 乾燥肌:肌が乾燥しやすく、かさつきやすくなります。
6 脱毛:髪の毛が抜けやすくなり、薄毛になることがあります。
7 うつ状態:気分が落ち込みやすく、うつ症状が現れることがあります。
8 筋肉痛や関節痛:特に運動をしていないのに、筋肉や関節が痛むことがあります。

ほとんどの低下症は橋本病ですので、その原因は自己免疫反応で、慢性的な炎症を引き起こされています。この炎症により、甲状腺の機能が徐々に低下し、徐々に十分な量のホルモンを生産できなくなっていきます。また橋本病は遺伝的な要因もあり、家族に甲状腺疾患のある人は発症リスクが高くなります。

診断には、血液検査が用いられます。具体的には、甲状腺ホルモン(T3/fT3、T4/fT4)のレベルと、甲状腺刺激ホルモン(TSH)のレベルを測定します。甲状腺機能低下症の患者では、T3およびT4が低く、TSHが高いことが特徴です。また、甲状腺に対する自己抗体(抗サイログロブリン抗体、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体)の存在も診断に重要です。超音波検査により、甲状腺の構造や大きさの変化を確認することがあります。

治療には、甲状腺ホルモンの補充が主に行われます。合成甲状腺ホルモン(レボチロキシン)の内服が一般的です。内服にてホルモンレベルを正常範囲内に維持することが目標です。患者の症状等に応じて調整されます。治療は生涯にわたって続けられることが多く、定期的な血液検査でホルモンレベルを監視しながら、適切な状態を維持します。

適切な治療を受けることで、症状を効果的にコントロールすることができます。しかし、治療を怠ると、症状が悪化し、日常生活に支障をきたすことがあります。定期的な医療チェックとホルモン補充療法の継続が重要です。医師との連携を密にし、定期的な健康チェックを怠らないようにお願いします。

2 甲状腺機能亢進症
甲状腺が過剰にホルモンを生産することで引き起こされる病気です。ホルモン産生により、新陳代謝が異常に高まり、さまざまな身体症状が現れます。その主な原因はバセドウ病です。バセドウ病は、成人女性に多く見られ、自己免疫疾患として分類されています。

主な症状として
1 体重減少:食欲があるにもかかわらず、体重が減少することが多いです。
2 暑がり:体温が上昇し、常に暑さを感じることがあります。
3 動悸:心拍数が上がり、心臓が速く鼓動するのを感じることがあります。
4 手の震え:細かい手の震えが見られることがあります。
5 不安感や過敏性:精神的に不安定になりやすく、イライラすることが多くなります。
6 下痢:腸の動きが活発になり、頻繁に下痢をすることがあります。
7 筋力低下:特に腕や脚の筋力が低下すること多く見られます

一過性の甲状腺ホルモンの流出などもありますが、主な病気であるバセドウ病の原因は、自己免疫反応です。これは免疫組織が誤って甲状腺を攻撃するもので、特に甲状腺刺激ホルモン受容体抗体(TRAb)が甲状腺を刺激することによって、過剰にホルモンを分泌します。結果甲状腺が肥大し、ホルモンの産生が過剰になります。

バセドウ病の診断には血液検査です。具体的には、甲状腺ホルモン(T3/fT3、T4/fT4)のレベルと、甲状腺刺激ホルモン(TSH)のレベルを測定します。バセドウ病の患者では、甲状腺ホルモンが高く、TSHが低いことが特徴です。また、TRAbの存在も診断の助けとなります。また甲状腺の超音波検査やシンチグラム(放射性ヨウ素取り込み試験)も行われることがあります。

飲み薬としては、抗甲状腺薬:メチマゾール(チアマゾール)やプロピルチオウラシル(PTU)などの薬物が使用され、甲状腺ホルモンが作られること抑えるようにします。治療の目標は、甲状腺ホルモンレベルを正常範囲内に維持することで。通常、数週間から数ヶ月で効果が現れ安定します。また、経過により放射性ヨウ素治療や手術が必要になることがあります。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)は適切な治療を受ければ、ほとんどの場合症状をコントロールすることが可能です。しかし、治療後も定期的なフォローアップが必要です。医師との連携を密にし、チェックを怠らないようにしていただきたいです。

3 甲状腺結節
甲状腺結節は、甲状腺内にできる固いしこりや塊です。ほとんどの結節は良性で、症状を引き起こさないことが多いですが一部は甲状腺がんになることがあります。結節が大きくなると、喉の圧迫感や飲み込みにくさを感じることがあります。医師は超音波検査や細胞検査を行い、結節の性質を確認します。結節そのものは成人の約5-10%に見られますが、悪性(がん)は結節持つ人の1-5%程度です。結節の患者数は約650万~1300万人ともいわれています。

3-1 甲状腺がん
甲状腺がんは、甲状腺内の異常な細胞の増殖によって引き起こされるがんです。早期には症状がほとんど現れないため、偶然発見されることが多いです。進行すると、首のしこりや痛み、声の変化、呼吸困難などの症状が現れることがあります。治療法には、手術、放射線療法、ホルモン療法などがあります。甲状腺のがんはがん全体の約1%を占め、やはり女性の方が高い傾向があります。患者は約6万5000~13万人といわれています。

おうちのドクター総院長 竹尾浩紀

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