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甲状腺とは ~その4(甲状腺の主な抗体検査)~

[2024.10.29]

甲状腺の抗体検査は、甲状腺に対する自己免疫反応を評価するために重要な検査です。自己免疫反応が原因となる疾患として、

代表的なものに橋本病やバセドウ病があります。以下に、甲状腺の抗体検査の種類とその意義について説明します。

 

  1. 甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)

検査内容:甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)は、甲状腺ホルモンの合成に関与する酵素です。TPOに対する抗体(TPOAb)は、橋本病などの自己免疫性甲状腺疾患で高値を示すことが多いです。

意義:TPOAbの高値は、甲状腺の炎症や破壊を示唆しています。特に橋本病の診断に有用です。また、バセドウ病患者でも高値を示すことがあります。この検査は、甲状腺の自己免疫反応を確認するための基本的な指標となります。

 

  1. サイログロブリン抗体(TgAb)

検査内容:サイログロブリン(Tg)は、甲状腺ホルモンの前駆物質であり、甲状腺細胞内に貯められています。Tgに対する抗体(TgAb)は、甲状腺細胞の破壊に関連する自己免疫反応を示します。

意義:TgAbの高値は、橋本病やバセドウ病などの自己免疫性甲状腺疾患に関連しています。また、甲状腺癌の治療後にこの値をモニタリングすることで、再発のリスクを評価することができます。またTgAbは、TPOAbと組み合わせて検査されることが一般的です。

 

  1. 甲状腺刺激ホルモン受容体抗体(TRAb)

検査内容:TRAbは、甲状腺刺激ホルモン(TSH)受容体に対する抗体であり、TSH受容体の機能を変化させることがあります。TRAbには、刺激性(TSI)と阻害性(TBII)の2種類があり、それぞれ甲状腺機能亢進症と低下症に関連します。

意義:TRAbは、特にバセドウ病の診断に重要です。バセドウ病では、TRAbがTSH受容体を刺激し、過剰な甲状腺ホルモンの産生を引き起こします。よってTRAbの測定は、バセドウ病の診断、治療効果の評価、および再発のリスク評価に多く使われています。

 

  1. 代表的な使い分け:

・橋本病の診断: TPOAbが特に有用です。TPOAbが高値の場合、橋本病の可能性が高まります。

・バセドウ病の診断:TRAbの測定が中心となりますが、TPOAbやTgAbも補助的に測定されることがあります。

・甲状腺癌のフォローアップ:TgAbが特に重要であり、治療後のモニタリングに使用されます。TgAbの変動は再発リスクの評価に役立ちます。

 

おうちのドクター総院長 竹尾浩紀

 

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