糖尿病と高尿酸血症
糖尿病は血中のブドウ糖濃度「血糖値」が高い状態が続く病態ですが、
高尿酸血症は血液中の尿酸の濃度(尿酸値)が高くなる病態です。
国内の高尿酸血症の推定患者数は現在1000万人超で30~40歳男性に至っては3割以上が高尿酸血症であるとされ、
現在も増加傾向にあるようです。
血液中に尿酸が過剰になると結晶となって関節に溜まり、それが激痛を伴う痛風発作を起こします。
また高尿酸血症の主な合併症に腎障害・尿路結石・動脈硬化などがありますが、
これは糖尿病においても腎障害・動脈硬化は大きな危険因子ですので、尿酸値と血糖値の高い人は十分な注意が必要です。
糖尿病と高尿酸血症は合併しやすい
糖尿病、痛風・高尿酸血症も遺伝的要因や生活習慣、過食・アルコールの多飲・肥満・ストレス・運動不足など、
いくつかの要素が重り合って発症します。
つまり糖尿病と高尿酸血症はどちらも原因となる習慣は、ほぼ同じような内容なのです。
したがって、糖尿病の食事療法・運動療法は高尿酸血症にも良い影響を与えます。
高尿酸血症の食事
高尿酸血症は食事の工夫により改善が期待できます。高尿酸血症は遺伝的な要因があるものの、
現在のところ治療手段はありません。しかし、食事・運動など生活習慣は患者さん次第で改善できることです。
尿酸値が上がる直接的な理由は、(1)尿酸が多量につくられている(2)尿酸を上手く排泄できていない、の2つの原因が考えられます。
この2点の改善は以下の5つのポイントに注意してください。
1.カロリーOFF
肥満のある方は、肥満解消を目指しましょう。内臓脂肪が蓄積すると尿酸の排泄が低下し、尿酸の産生が増加することが知られています。
2.アルコールは極力控える
飲酒は高尿酸血症の主要因です。特にビールはプリン体を多く含んでいるので注意が必要です。
3.プリン体を摂りすぎない
食品中に含まれるプリン体は、肝臓で尿酸に代謝されます。動物の内臓や魚の卵などは控えめにしましょう。
4.水分は1日2L以上
尿酸は水に溶ける性質があり、尿とともに尿酸が排泄しやすくなります。食事以外に水かお茶を中心に1日2L以上、飲むようにしましょう。
5.野菜や海藻をたっぷり摂取する
野菜や海藻は多く摂取すると尿がアルカリ性となり、尿中の尿酸が溶けやすくなります。
また、野菜類に含まれるビタミンCや食物繊維は痛風のリスクを下げる働きが期待できます。
尿酸値が高くなる原因は、遺伝以外に食習慣に関する部分が多いため、先ずは上記の食生活の見直しを行ってください。
規則正しい生活がその予防となります。少しずつ改善していきましょう。
管理栄養士 坂田章