メニュー

糖尿病と果物

[2024.10.10]

暦の上では、とっくに秋ですが、まだまだ暑い日が続きますね。実りの秋、食欲の秋といいますが、特に美味しい果物が旬を迎える時期でもあります。

しかし果物は甘みが強く、糖分が多く含まれるので「糖尿病の方にはあまり、お勧めできない」という声を聞くことがあります。

 

果物の栄養

果物には食物繊維・ビタミン・ミネラル・ポリフェノール・カロチノイドなど身体に必要な栄養素が多く含まれています。

カロチノイドは果物や野菜の色素成分で、代表的なものとしてβ―カロチンやリコピンなどあります。

カロチノイドは体内で増えた活性酸素を除去する抗酸化作用があり、動脈硬化を予防したり、老化やがんの発生予防に対しても効果があるようです。

確かに上記のような有効成分を有している果物ですが、気になるのは果物の甘味、糖質量でしょう。

果物の糖質はご存じのように果糖と呼ばれる種類の糖質ですが、果糖の他に血糖値に直接影響を与える、

ブドウ糖・ショ糖が多く含まれる果物があるのを御存じですか。

さらに果糖も体内で吸収後、肝臓で中性脂肪に変わりやすく、体重増加や脂質異常症、脂肪肝の原因となりますので、果物の摂りすぎは注意が必要です。

 

糖化タンパク質(AGEs)

近年、体の老化促進物質であるAGEs(最終糖化物質)が話題となっています。糖分はタンパク質と結びつきやすい性質があります。

体内のタンパク質の一部にブドウ糖や果糖がくっつき、これが変性・劣化した状態がAGEsです。

皆さんのよく知っているHbA1c(グリコヘモグロビン)もAGEsの1つです。

このAGEsは体全体の老化・動脈硬化・認知症・がんなどに深く関与していることが分かってきました。

さらに果糖はこのAGEsをとても作りやすい糖で、タンパク質との結合率はブドウ糖の300倍と言われています。

 

糖尿病患者さんの果物の食べ方

 では糖尿病患者さんは果物をどのように摂っていけば良いのでしょうか。

日本糖尿病学会の「糖尿病診察ガイド」では果物には糖類が含まれているが、一定量までは糖尿病に影響を与えないことが示されています。

その量は各果物のエネルギー量により異なりますが、概ね1日に100g以内であれば、

果物摂取によって血糖・中性脂肪レベルは改善し、体重増加はきたさないとしています。

大体、握りこぶし大を目安にしていください。

果物の重要な栄養素である食物繊維の多くは皮の部分含まれています。なるべく皮ごと食するように心がけてください。

また、摂取する時間ですが果物は中性脂肪に変わりやすい性質があるため、

脂肪の蓄積しやすい時間帯である、夕食後は避けた方が良いでしょう。

 

管理栄養士 坂田 章

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME